もうええねん

新居に引っ越して1ヶ月が過ぎた。

ボチボチ家具も揃ってきて、ようやくそれなりの生活環境になった。引っ越したのが8月の頭だった為、私も同居人も業者も汗をだらだらかきながら作業をしていたのが遠い昔のようだ。

前の家は2階にあったので、今ぐらいの季節になると毎日窓を開けて寝ていた。秋の夜が大好きで、風や虫の鳴き声を聞きながら眠りにつくのが習慣だった。こちらに引っ越してからは、近くに公園がある事でより音が聞こえるようになり、風もよく入り良いな…と思いながら、ここ最近を過ごしていた。

そんな時だった。その日は朝から気持ちいい秋晴れで、ルンルンで窓を開けて掃除をし、寝る前までそのままだった。今日も虫の音を聴きながら眠りますか…と布団に入る。と、何か蠢くものが視界に入った。何だ?あぁ、羽虫か……羽虫?そういえば昨日も見たな…2匹もいる…。そう思いなんとな〜く壁に目をやる。と、同じ虫が又2匹程張り付いているではないか。これはまさか、いや、でもそんな…。恐る恐る天井の電気を見る。その後は思い出したくもない。部屋に入れず半泣きの私の代わりに同居人が格闘してくれ、とりあえず部屋に湧いていた奴らを退治した。窓を見ると、向こう側にはびっしりといる奴ら…気を失いそうになるのをなんとか耐え、開けられなくなってしまった窓を悲しく見つめ、「知らんからね!また入ってきても!」と忠告する同居人にすまん…と思いながら寝る前の少しだけ窓を開けたのだった。

翌日、網戸用のハエ取りと直接噴射するスプレーを買い、万全の体制で臨む。しばらく様子を見て、網戸に全く付いてない事に安堵しつつ、また窓開けを再開した。これで私の安眠は守られる。窓付近と電気を確認する毎日は終わりだ。俺は羽虫なんぞに負けない…!と思いながら、今しがた窓を見たら、普通に張り付いてたしなんなら部屋に入ってた。何なの?